キャリア

「ゆっくり、いそげ」特定多数とギブから考える自分の活かし方

資本主義 = 競争といった生き方以外を模索できないか?

今の社会は資本主義が深く根ざしています。 この考え方は根深く、様々な形を変えつつも根本で人間社会に大きな影響を与え続けています。

今回紹介する考え方は、ゆっくり、いそげ」です。 そのタイトルにもなっている「ゆっくり、いそげ カフェからはじめる人を手段化しない経済」という本を参考にしています。

競争社会から離れ、少ない消費で、少ない収入でも等身大の充足感を実現する暮らし方を実現できないのか?

日々何を大事にするのかを自問自答し、「ゆっくり、いそげ」という価値観の元カフェ経営に向き合う中での知見を紹介されています。

ビジネスとスローの間。 資本主義だったらどちらかを犠牲にすると考えがちなものをどちらも大事にする。 それを実現する道を考える。

物事の本質を突き詰めて考えていく思考プロセスも学べることができる一冊です。 今回は、その中で参考にしたい「価値の交換」「特定多数」という概念と事業を扱います。

自分の活かし方を考えていく上で参考になるはずです。

ゆっくり、いそげ カフェからはじめる人を手段化しない経済

価値の交換が生むために「特定多数」を考える

ビジネスは価値の交換を元に成り立ちます。生まれる場所は市場と呼ばれます。 顧客がいて、自分ができる価値を提供することで交換(金銭やりとりの発生など)が生まれます。

より詳細に考えてみます。

グローバル経済は市場を媒介として、「不特定多数」の参加間での価値の交換を可能とするシステムだといえます。

なぜなら、国を超えた市場の中で価値の交換(それはどんな産業であっても)が人の顔がみえないような大規模な形でやりとりされるからです。

そこでは買っている人は具体的ではなく、流動的でどんな人たちに対して価値貢献をしているのかはわかりにくいです。

それに対して、同じように市場を媒介としながらも、「特定多数」の参加者間での価値の交換を可能にするようなローカルシステムも存在します。

グローバル経済というような大規模で不特定多数の人の顔が異なっているのとは違い、価値のやりとり、いわば「お互い様」な交換が生まれます。

大規模出ないが故に大きな売り上げ/影響力になるわけではないですが、特定的な顔の見える関係の中だからこそ成り立ちます。

書籍の中では何かしらの価値の周波数を共有する「特定多数」は、5,000人ほどではないか?と仮説立てています。

そういう規模に対して自らが出せる貢献を定義し、価値提供を出来る体制を整えれば少なくとも「日本中の人々」を対象として想定しなくても、大抵の事業はきっと経済的に成り立つと主張します。

とてもワクワクする話ではないですか? 大きくしなくても、自分の活かし方次第で幸せな価値貢献の形は作り出せるということです。

事業のはじまりは「テイク」と「ギブ」どちらか

特定多数を考えるメリットは、自分が事業を通じてどんな影響/価値を提供したいかを具体的に考えられることです。

そこに焦点を当てることが、自分を活かし、ビジネスを成り立たせる骨子になります。

個人で事業・お店をやっている方に動機を聞いたとしたら「ギブ」から始めていると大半の人は答えるのではないか?と「ゆっくり、いそげ」の中で語っています。

あるときは「お金のため」という割り切りであまり望まない仕事に取り組むことだってあるが、根本の動機であり目的が、お金ではない。

事業を通じて与える、「ギブ」することからはじまる。 著者の経営されているクルミドコーヒーでは、クルミ農家の繁忙期に社員が手伝いに行き、「贈ること」を身体的に理解する研修を行うそうです。

過剰ともいえるような負荷を定期的に背負う経験をすることを通じ、原初的な姿勢が「贈る」ことだと思い出させてくれる貴重な機会とすること。

それによって贈るものを増やす形でのgivingを実現しています。

特定多数を考え、自分がどんなギブをしていけるか?を考えること。 その思考の先に自らの効果的な活かし方が潜んでいるはずです。

今回は概念のみの紹介でとどめてしまいましたが、「ゆっくり、いそげ」は実経営のエピソード満載でとても面白い書籍です。

是非、手に取ってみてください。

ゆっくり、いそげ カフェからはじめる人を手段化しない経済