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凡庸にして最強スキル、それが箇条書き
英語や会計、ロジカルシンキングと同じくらい世界で求められるスキルがあります。 多くの人はキャリアアップに英語や会計、ロジカルシンキングを学び、沢山の書籍が販売されています。
それと同じくらいのスキルといってどういうものを思い浮かべるでしょうか?
プログラミング? プロジェクトマネジメント力? コミュニケーション力?
色々想像が出てくるかもしれません。 結論をいうと、「箇条書き」のスキルです。
世界では「ビュレットポイント」と呼ばれ、短く、魅力的に伝え、人を動かすツールとして使われています。
箇条書き~?そんなのスキルなの?
と思うかもしれません。
キラキラと書籍や記事で語られるようなスキルとは異なりシンプルなもののため見劣りするものと考える人もいるかもしれません。
ですが、箇条書きのスキルは仕事や日常生活においてものすごく役立つものになります。 なぜなら、コミュニケーション力の根幹である「伝え方」を大きく伸ばせるからです。
現在の世界は伝え方一つで、将来が左右されるくらい言葉の使い方は重要度を増しています。 テキストコミュニケーション量も増え、その質が成果に大きく直結していくからです。
箇条書きのスキルを磨くと情報を選別し、少なくする伝え方ができることで他の人との競争優位になります。 わずか数行の扱い方であっても、相手の関心を惹きつける伝え方ができるようになります。
まさに夢のスキル!
そんな箇条書きをスキルとして体系化させた「超・箇条書き―――「10倍速く、魅力的に」伝える技術」という書籍から方法を紹介します。 私も学びはじめ実践に活かしている途中ではありますが、確かな効果を感じています。
超・箇条書きとは何か? 身につけるとどういう活用方法・メリットがあるのか?
超・箇条書きとは、言葉遊びでも、単なる技術でもなく、相手のことをとことん考え、相手の情報処理を手助けする作業です。 そして、相手に動いてもらう事によって、自分やそのまわりを変える所までを実現します。
箇条書きという伝え方を通じて世の中の変化を創り出し、それと同時に自分の心を変えていく作業です。
ほとんどの人が捉える箇条書きは、ビュレットポイントを使って文章をいくつか羅列したものを
想像すると思います。
- この講義から学べた事は以下の3点である。
- コミュニケーションの本質とは、相手に伝わる言葉で話すこと。
- 伝えることではなく、まず相手の視点に立つことが重要。
- 伝える前に相手が何を求め、どういうことを考えているかの情報を取ることが大切。
みたいなものを考えるのではないでしょうか?
箇条書きは一つの表現方法として一般的なものになっていますが、深く理解しようとするととっても奥深いツールであることがわかります。
具体的な箇条書きを超・箇条書きにする方法論を次の章から紹介していきます。
これができるようになると、以下のような場面で活用することができます。
- ストーリーライティング(企画立案、プレゼン)
プレゼンする時に、どういう手順で何を伝えるのか?
何が主張で、どういうプロセスで言葉を積み上げていくのかを整理することができます。
企画においても重要です。
箇条書きにすることで、何が伝えたいこと・要点なのかを明確に考えることができるので、企画の骨子を創り出すことが容易になります。
- パラグラフライティング
文章を書く時の土台作りができます。
伝えたいことを超・箇条書きで整理し1つ1つの文をパラグラフの先頭に置くだけで文章構成を作り出すことができるようになります。
ここまで出来れば後は、パラグラフごとに先頭文の説明や補足を続けて核だけになります。
- 英語上達
最初に紹介したとおり、この箇条書きは世界的に重要視されているスキルです。
なぜなら、英語力がつたなくても、箇条書きで要点を伝えることができればコミュニケーションを成り立たせることが出来るからです。
コミュニケーションは伝われば成立します。箇条書きならば、流ちょうに英語を話せなくても会話が成り立ち、徐々に英語上達にもつなげていけます。
これだけメリットがあるのにも関わらず、不要なコストがかかりません。 どんな職種をしていてもすぐに活用できるので、日常生活の中で実践することでどんどん成長させることもできます。
そんなスキルは中々ありませんよね。めちゃくちゃ学びがいがあるものだと個人的に考えています。
頭を整理して伝える準備をするために、箇条書きで構造化ができるようにする
頭を整理して伝える準備をするために、箇条書きで構造化して全体像が把握できる状態をまず目指していきましょう。
相手が全体像を把握し、一瞬で理解できるようにするために大事なポイントは以下の3つです。
- 大切なこと、ポイント、決まったことなどが一瞬で分かるように整理されている
- 一つ一つの文の並びに意味があるように整理されている
- 情報のレベル感が整っている
伝えたいことの幹と枝を整理することで、「短く、魅力的に伝える」箇条書きに一歩近づきます。 そのために、どこに焦点を当てて欲しいのか?が一瞬で分かるように整理することが重要です。
配置までにも気を配るのはそのためです。
情報の粒度・性質のレベル感を整えることも重要です。今まで意識していなかった人が多いと思うので、ここが一番難しい所かもしれないです。
レベル感を整えることは、似ているものを1つにまとめることです。 より詳細に踏み込むと、「状態・現象」を伝える文と、「行為」を伝える文を分けることです。
- 「料理がある」という状態であれば静止画
- 「~を料理する」という行為だと動画
みたいな感じです。
ただ文そのものが曖昧だとそもそものグルーピングが上手くいきません。 そのためにまず3つのポイントで曖昧さをなくす必要があります。
自動詞と他動詞(言語をそろえる)
1つめにそろえるのが、自動詞と他動詞(言語をそろえる)ことです。
自動詞とは、その時の状態・現象を伝えたい時に使う言葉です。 目標やビジョン、問題、特徴、好き嫌いなどを指すもので、
- コップが落ちる、ボールペンがある、私は驚いた、彼は止まる
などの言葉が自動詞にあたります。 目的語が消え、主語も消えてしまうので、行為を表すものならば他動詞にするように注意が必要です。
一方の他動詞は、誰かが何かに影響を与える行為・因果関係を伝えたい時に使う言葉です。 行動、因果関係、プロセスなどを指すもので、
- 私がコップを落とす、あなたがボールペンを置いた、彼が私を驚かせた、非常ベルの音が彼を止める
などの言葉が他動詞にあたります。
自動詞か他動詞かという区別をつけることで、その文章が示す意味に対してより自覚的に意味を伝えることができるようになります。
この区別を使っていく上で注意すべき文法が「体言止め(名詞化)」です。
体言止め(名詞化)は自動詞か他動詞かの判断を曖昧にし、伝わりにくくしてしまいます。 なぜなら語呂が良くはなるが、状態なのか行為なのか多義的で曖昧にするからです。
動詞であったところを名詞にして体言止めするのは、全体像の理解を妨げるので、ここぞという場面以外は使わないようにする方がより伝わる箇条書きになっていきます。
直列と並列(時間軸をそろえる)
2つめにそろえるのが直列と並列(時間軸をそろえる)ことです。
レベル感を整える上で、1つの階層につながりがあるものを並べるパターンは2つしかありません。
1つが「直列型」で、もう一つが「並列型」です。
それぞれ直列型と並列型で、時間軸の使い方によって違いが生まれます。 つながりに時間が流れていれば直列型、流れていないときは、並列型で伝えます。
文章の間の時間軸を考え、並べることで上から伝えられる人がすっと理解することに繋がるのです。この考え方は「超・箇条書き―――「10倍速く、魅力的に」伝える技術」を読むまで意識したことがなかったので目から鱗が落ちました。
「直列型」と「並列型」についてより詳細に説明しますね。
直列型とは、ある時制からその未来、ある時制からその過去を示すものです。
- 問題の発生、解決策の立案、結果
- 未来のビジョン、中期の経営計画、戦術など
といったものを表現する時に使います。
一方で並列型とは、時制が発生しない時間の流れがないものを示します。
- 問題点のリスト、解決策のリスト、結果のリスト
- ○箇条などの法案や所信表明など
などといった事実の羅列を表現するときに使います。
時間の流れという視点で区別できるだけでも、箇条書きで整理された情報の伝わりやすさが変わっていきます。それはひいては伝え方全体に影響してくる視点になります。
ガバニング(統制)
3つめにそろえるのがガバニング(統制)です。
ガバニングとは頭出しのまとめのことです。 まとめたグループの1段目にそれ以降の枠組みを宣言します。
具体的にいうと、伝えたいことが3つ有るときに「ポイントは3つです」と宣言する言葉のことです。 このガバニングがあるのとないのでは、その過剰書きの存在意義の伝わりやすさが変わってきます。
最初の文章こそが、相手にとって一番頭に残りやすく、情報処理の土台になります。 ガバニングを提供するということは、「これから伝えられること」を受け止める引き出しを提供することです。
情報処理が楽になり、全体像をすぐ理解できるようになります。